こんな悩みを解決します!
●移動平均線で勝てる方法を知りたい
●今使っている手法を改良したい
●しっかりとした数的な根拠が欲しい
移動平均線って、どう使えばいいの?
結論、移動平均線1本を表示させるだけで十分使えます。
例えばドル円5分足なら、1取引ごとに約0.89pips有利なトレードができます。
トレード初心者が最初に触れるインジケータが移動平均線です。
しかし、初心者相手だからと、間違った使い方が『確かめられないまま』紹介されているケースが少なくありません。
2~3枚のチャートで「こう使いましょう」と紹介し、最後に「レンジでは使えません」と逃げるブログ記事。6,000円以上する専門書でも、30回や50回の少ない取引数から、「ほら、勝てるよ!」と紹介している著者もいます。
多くのプロが断言していますが、トレードは数値化した人から勝ち始める世界です。
本記事の執筆者
そこで今回、15億回のトレードサンプルから、移動平均線の性能を数値化して紹介します。
この記事を読むことで、「みんな(プロが)使っているから」という通説に頼る天動説トレーダーから、「過去データから○○が一番有利」という根拠に満ちた地動説トレーダーへ進化しましょう。
統計学や確率論などの専門用語も、分かりやすく噛み砕いてまとめました。トレード1年目の初心者でも急成長できますよ。
本記事の内容
・移動平均線は価格より上か下か見るだけ
・よく確かめないから負けるデータ根拠
・ランダムでも勝てるカギは絞り方
何も考えずに使っても0.1pips有利になる
手法が存在しない検証
移動平均線の性能って、どんな手法を使うの?
まず大前提として、今回の検証に手法は存在しません。
『モンキーテスト』と呼ばれる方法で、検証を行います。
トレードでは、プログラム(EA)を使って、注文決済をランダム化して検証します。
分かりやすい例え話を、今回の検証方法にそって紹介しましょう。
準備するモノ・ルール説明
《準備するモノ》
・トレーダー300人
・ドル円チャート:1分足・6年分
《検証①ルール》
・1日に1~2回くらい取引する
・だいたい[○○本保有]する
《検証②ルール》
・1日に1~2回くらい取引する
・だいたい[○○本保有]する
・[●●MA]より上なら買い
・[●●MA]より下なら売り
検証手順
手順1:トレーダー300人が好き勝手に取引。
手順2:検証①と検証②の取引結果を集計。
手順3:検証①と検証②の集計結果を比較。
この検証で、「[●●MA]より上なら買い、下なら売り」というルールが、トレードへ及ぼす影響を分析できます。
つまり、ルールの性能が分かります。
性能って、具体的に何を見るの?
今回はイメージしやすいよう、次の数値を性能として考えます。
数式にすると、<検証②pips ー 検証①pips = 性能>です。
検証①:完全ランダム(ドル円1分足)
ではまず、基準となる検証①。設定値[○○本保有]5~60本の12パターンで集計結果を見てみましょう。
棒グラフ1本が、300人の平均期待利得(1トレード平均損益)。線グラフが6年分の平均期待利得です。
グラフの通り、[-100.00]が基準となります。
もし専門用語などを読み飛ばしたい場合は、『完全ランダムで取引したら[-100.00]になった』とだけ覚えてください。
検証②:ランダム+MA(ドル円1分足)
次に、比較する検証②。設定値[○○本保有]5~60本の12パターン、[●●MA]期間20~300の15パターン、計180パターンで集計結果を見てみましょう。
データは多いですが、見方は変わりません。
棒グラフ1本が300人の平均期待利得(1トレード平均損益)。線グラフが6年分の平均期待利得です。
ポイントは、MAの期間が長い右半分。
[○○本保有]の設定値、つまり保有する本数が長くなるにつれて、線グラフが上向きになっています。
これは『MA方向にトレードすると有利』と言い換えられるでしょう。
性能:ドル円(1分足)
では、最後に、MAを含んだ検証②と、完全ランダムの検証①を比較します。
MA期間が120を超えてから、順調に右肩上がりになっていますね。
具体的に数値化すると、最大で300MAの平均60本保有で[+12.219]。
この分析結果を言い換えると、次の通りです。
60分持つ握力があれば、300MAの上下で取引するだけで、1取引ごとに約0.12pips有利なトレードができる。
え、たったの0.12pips!? 少なくない!?
たしかに少ないかもしれません。
「プロが使うから…」「みんな使っているから…」という通説より、圧倒的に信憑性が高い情報となります。
よく調べずに使うと不利になるデータ根拠
では次に、通説が不利に働くケースを紹介しましょう。
準備するモノ・ルール説明
《準備するモノ》
・トレーダー300人
・ユーロドルチャート:1分足・6年分
《検証①ルール》
(変更なし)
《検証②ルール》
(変更なし)
つまり、ユーロドルで全く同じ検証を行います。
手順も同じなので、検証①と②の集計結果、比較結果をまとめて紹介しましょう。
検証①:完全ランダム(ユーロドル1分足)
集計結果・基準値[-1.000]
検証②:ランダム+MA(ユーロドル1分足)
集計結果・線グラフが下向き⇒『MA方向にトレードすると不利』
性能:ユーロドル(1分足)
全ての設定値でマイナス⇒『完全ランダムより不利』
具体的に数値化すると、ドル円と同じ300MAの平均60本保有が[-0.057]。
この分析結果を言い換えると、次の通りです。
60分持つ握力があれば、300MAの上下で取引するだけで、1取引ごとに約0.06pips損をする。
ドル円と違って、ユーロドルだと損するんだ
でも、損になるって、そんなデータ意味ないよ…
いいえ。むしろ損になるデータこそ、性能を数値化する最重要ポイントです。
ユーロドルは参入者が多く『テクニカル分析が機能しやすい』と言われています。『長期MAより上なら買い、下なら売り』という使い方は、証券会社の代表プロが紹介する分析方法です。
通説に頼る天動説トレーダーなら、ユーロドルで長期MA上下という分析を、喜んで使うでしょう。
たしかに…使っちゃってたかも…
他のテクニカル分析も同じです。
ボリバンσ反発・RSI70/30反発・MACD方向・ダイバージェンス・ダブルトップ(ボトム)・ヘッドアンドショルダー・水平(トレンド)ライン・プライスアクション・組み合わせた手法etc…
①「みんな(プロが)使っているから」という通説が、損になる数値化されたデータを知る。
②「みんな(プロが)使っているから」と他の通説が、損になる可能性を捨てられなくなる。
③トレード中に集めるデータのない根拠が、損になる可能性を捨てられなくなる。
④データのない根拠でトレードすることが”怖くなる”。
損になるデータとは、データのないトレードをできなくする、いわば”呪い”です。
『ドル円のMA上下で約0.12pips有利になる』という数値化されたデータに、いかに安心感があるか、比較すると分かりやすいですね。
ランダムでも勝ち抜く移動平均線の使い方
この記事のテーマは、移動平均線の正しい使い方ではありません。
タイトル通り『移動平均線で勝つ方法』です。
0.12pips有利になるだけだと、低スプレッド口座を探しても、勝つのは難しいよ…
ドル円なら、現在主流となっているスプレッド、0.2pipsを超える数値的データが欲しいところです。同じくユーロドルなら、0.3pipsを超えないと、勝てるとは言い切れないでしょう。
・カギは時間フィルタ
そこで、私がEA開発で活用(乱用)している《時間フィルタ》を用いて検証しました。
具体的には、注文時間を15分ごとに分割します。
一般的にトレードが行われるであろう時間は、9時~翌朝4時までの19時間。
つまり19×4=76通り検証を行う計算です。
また検証方法に沿って、分かりやすく紹介しましょう。
準備するモノ・ルール説明
《準備するモノ》
・トレーダー300人
・ドル円チャート:1分足・6年分
《検証①ルール》
・1日に1~2回くらい取引する
・だいたい[○○本保有]する
《検証③ルール》
・[300MA]より上なら買い
・[300MA]より下なら売り
・[指定された15分]のみ注文可能
この検証で、「300MA]より上なら買い、下なら売り」というルールが、トレードへ及ぼす影響を、15分間隔で分析できます。
設定値[○○本保有]5~60本の12パターン。
[指定された15分]が9時~翌朝4時までの76パターン。
つまり、1通貨ペアで912通りの<検証③pips ー 検証①pips = 性能>データが集まる計算です。
基準となる検証①は、前回の検証結果と同じドル円[-100.00]、ユーロドル[-1.000]を使います。
検証③:ランダム+MA+時間フィルタ(ドル円1分足)
では、ドル円の検証③を見ていきましょう。
1日中取引する検証②では、300MAは安定した右肩上がりでした。
しかし15分ごとに分割して見ると、300MAの優位性は大きく変わります。
右肩下がりで不利な時間帯もあれば、より右肩上がりで有利な時間帯も…
検証③:ランダム+MA+時間フィルタ(ユーロ円1分足)
では、ユーロドルの検証③を見ていきましょう。
1日中取引する検証②では、全てのMA設定値で完全ランダムより不利な分析結果でした。
しかし15分ごとに分割して見ると、右肩上がり、有利になる時間帯がいくつか見られますね。
また、より右肩下がりが際立ったグラフは、MA上下を『逆張り』指標として使えるでしょう。
性能:ランダム+MA+時間フィルタ(1分足)
それでは最後に、<検証③pips ー 検証①pips = 性能>の分析結果です。
性能:ドル円1分足
性能:ユーロドル1分足
1分足ランキング
912通りの性能を、全てを把握する必要はありません。
データを武器として使うだけなら『有利』or『それ以外』だけで大丈夫。
分かりやすくいうと、ランキング上位を覚えることが最善策です。
そこで<検証③pips ー 検証①pips = 性能>を、時間帯別にランキング形式で紹介します。
*時間表記は、【日本時間_GMT+9(検証時間_GMT+0)】
《ドル円1分足》
順位 | 注文時間 | 平均保有本数 | 性能 |
---|---|---|---|
第1位 | 23時15分(14時15分) ~23時30分(14時30分) | 平均60本保有 | 期待利得0.63pips ランダム有利率31.80% |
第2位 | 20時45分(11時45分) ~21時00分(12時00分) | 平均60本保有 | 期待利得0.51pips ランダム有利率26.28% |
第3位 | 17時45分(8時45分) ~18時00分(9時00分) | 平均55本保有 | 期待利得0.31pips ランダム有利率17.83% |
《ユーロドル1分足》
順位 | 注文時間 | 平均保有本数 | 性能 |
---|---|---|---|
第1位 | 20時00分(11時00分) ~20時15分(11時15分) | 平均60分保有 | 期待利得0.31pips ランダム有利率19.27% |
第2位 | 23時45分(14時45分) ~24時00分(15時00分) | 平均40分保有 | 期待利得0.25pips ランダム有利率18.73% |
第3位 | 3時00分(18時00分) ~3時45分(18時15分) | 平均20分保有 | 期待利得0.18pips ランダム有利率23.37% |
最下位 | 16時00分(7時00分) ~16時15分(7時15分) | 平均60分保有 | 期待利得-0.58pips ランダム有利率-32.29% |
ランダム有利率って?
300人の検証データ正規分布が、基準値(完全ランダム)より何%ズレているかを示した数値です。
分かりやすくいえば、『300人中何%が、MA上下によって完全ランダムより優れた取引ができたか』という目安です。
例えばドル円1位の31.08%なら、(+50%で)81.08%の人が完全ランダムより優れており、31.08%の人がMA上下の分析によって有利な取引ができた、と考えられます。
手法や分析を紹介する時、「●●さんが使っている分析」より、「平均○○pips有利になって、●●%の確率で優れた取引になる分析」と語れる方が、圧倒的に説得力がありますね。
5分足ランキング
あれ? 冒頭でドル円5分足なら0.89pips有利になるって紹介されたような…
お待たせしました。本命の検証です。
準備するモノ・ルール説明
《準備するモノ》
・チャート:ドル円/ユーロドル5分足・6年分
・トレーダー:300人
《検証①ルール》
・週に1~2回くらい取引する
・だいたい[○○本保有]する
《検証④ルール》
・[300MA]より上なら買い
・[300MA]より下なら売り
・[指定された15分]のみ注文可能
それでは早速、<検証④pips ー 検証①pips = 性能>の分析結果を見ていきましょう。
性能:ドル円5分足
順位 | 注文時間 | 平均保有本数 | 性能 |
---|---|---|---|
第1位 | 22時45分(13時45分) ~23時00分(14時00分) | 平均45本(225分)保有 | 期待利得0.89pips ランダム有利率15.62% |
第2位 | 23時30分(14時30分) ~23時45分(14時45分) | 平均60本(300分)保有 | 期待利得0.78pips ランダム有利率13.79% |
第3位 | 14時45分(5時45分) ~15時00分(6時00分) | 平均55分(275分)保有 | 期待利得0.53pips ランダム有利率9.92% |
性能:ユーロドル5分足
順位 | 注文時間 | 平均保有本数 | 性能 |
---|---|---|---|
第1位 | 18時30分(9時30分) ~18時45分(9時45分) | 平均55本(275分)保有 | 期待利得0.47pips ランダム有利率7.97% |
第2位 | 20時00分(11時00分) ~20時15分(11時15分) | 平均25本(125分)保有 | 期待利得0.46pips ランダム有利率10.47% |
第3位 | 2時30分(17時30分) ~2時45分(17時45分) | 平均35本(175分)保有 | 期待利得0.36pips ランダム有利率10.27% |
最下位 | 16時00分(7時00分) ~16時15分(7時15分) | 平均55本(275分)保有 | 期待利得-0.74pips ランダム有利率-12.32% |
期待利得が大きくなった!
でもランダム有利率が小さくなってる?
5分足は1分足と比較すると、1年間の取引回数が少なくなります。また、ロウソク足1本の値動きも大きくなるため、300人分集めたトレード結果のブレが大きくなります。
ブレの大きさは、そのままランダム有利率の低下、つまりランダムと分析の曖昧さです。
「7.97%の人がMA上下の分析によって有利になった」とは、十分すぎる分析結果といえるでしょう。
まとめ:まだ天動説を信じますか?
今回のポイント
・移動平均線は1本表示させるだけでも勝てる。
・ランダム検証で最大0.89pips有利なトレードができる。
・よく調べない分析は、不利に働く可能性がある。
この記事の裏の目的は、データ数の暴力で深堀り、『MA上下の分析』と『それ以外の情報』に圧倒的な差を作ることです。
「設定値は一番よく使われている●○を使いましょう」「このようなチャートでは●●と分析すれば勝てます」「有名プロの~~さんが紹介する、月利●●%の手法です」「3ヶ月で50回試しまして××円勝てました」
「過去6年ランダム取引を300通り検証した結果、ドル円5分足の300MA上下で、22時45分~23時00分に注文、平均45本保有すれば、1取引で平均0.89pips有利に、15.62%の確率で優れた取引になりました」
誰かの情報、という意味では同じ。しかし…
・確かめずに使った分析が『不利になる』リスク
・小さいけれど『有利になる』を数字化できる事実
この2つを知ってしまうと、もう通説に頼る天動説トレーダーには戻れないでしょう。
でも、300人とか1000通り以上とか、そんなに確かめられないよ!
安心してください。
今回検証した300人のトレーダーとは、言い換えると300通りの手法です。
つまり、あらゆる手法に応用することができます。
・RSI反発+MA上下フィルタ
・BBσ反発+MA上下フィルタ
・ライン手法+MA上下フィルタ
手順も簡単、ただMAを1本チャートに表示させるだけ。
私が唱えたのは、あくまで『有利になる』という説です。
ぜひあなたの手法で確かめて、『勝つ』地動説を築き上げてください。
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